2008-09-24
Jリーグファンは、どちらが優勝争いをしているチームかを錯覚し、初めて見た者は誤っただろう。
名古屋サポーターの方々には申し訳ないが、そのような印象のゲームだった。
残留に向けて“今こそWIN BY ALL!”活動を展開中のこの日も、ゲーム開始の士気を昂揚させる普段の“アメージンググレイス”ではなく総攻撃を合図する“WIN BY ALL”のかけ声で選手達、そしてサポーター自らを鼓舞させながらホイッスルを向かえることになった。
今節は待ち望んだミシェウが復帰し、ミシェウは3枚の二列目の中央へ、ワントップには縦の連係の相性を考えてか、巻を休ませブラジル人のレイナウド、そして、ボランチにはいつもの戸田ではなく工藤が入る布陣でスタートした。
前半からジェフがグランパスを圧倒した。
ジェフの各選手の相手ボールへの寄せが早く、またラインもコンパクトに統率され、それが優勝争いをしているチーム相手に実践しているのだから、「組織として見事なまでに洗練されている」といった印象は否定しようがない。
攻撃では、キープ力があり、変化のある攻撃を演出し、ドリブル突破にも優れているミシェウは期待に叶ったとおりのパフォーマンスを発揮してくれていた。
ミシェウのドリブル突破は圧倒的なスピードこそないものの、無駄のない動作とスピードの変化で相手を何度も抜き去るその様は、見ていてスカッとする。私は、同じブラジル人でもロナウジーニョのような大きなフェイントで相手を抜き去るよりも、カカーのようなスピードの変化で抜き去る選手が好みである為、そういった変化のあるドリブルもできるミシェウに対し、とことん「凄いヤツだ」とゲーム中は感心せざるを得なかった。
ミシェウが「凄いヤツだ」だと感心するのはそれだけではない。相手へのチェイシングとプレスを最後まで怠らないことだ。このような献身的なブラジル人はあまり見たことがない。まさに“WIN BY ALL!の申し子”のような選手だ。今更ながら、獲得してくれた昼田GMにお礼を言わなければならない。
そのミシェウの巧みなゲームメーク感覚に触発されてか、深井、レイナウドとのダイレクトパス、そして工藤との縦の関係も素晴らしく、ゴールは時間の問題かと思われた。
しかし、青木良太の怪我の影響からか、自陣の左サイドから小川に隙をつけこまれ、フリーにしてしまった瞬間、素晴らしいミドルシュートでゴールを割られてしまった。
先ほどまでのジェフの優勢ぶりは何処へいってしまったのか、これが優勝争いをしているチームの差かと気持ちが少し萎えてしまったが、後半に向けてみんなが逆転を信じていたに違いない。
後半開始前の円陣は反撃の狼煙だった。これに呼応したサポーターも挙って選手達を鼓舞した。そして束の間の逆襲劇が展開された。
早川のクロスを谷澤がヘッドで合わせまずは同点。このゴールは楢崎のミスの感が否めないが、ゴール裏のサポーターの“WIN BY ALL!”コールが楢崎を硬直させたに違いない。
そして直後、谷澤のシュートのセーブされた跳ね返りを詰めていた深井が押し込んだ。
この時スタジアムは最高潮に達した。立場が違えば、優勝を決める瞬間のような感覚だっただろう。
その後も全員がハードワークに徹し、ゲームを優位に展開させた。特に、工藤のディフェンスは素晴らしかった。体は小さいながらも、懐を最大限に使うキープ力はさることながら、インターセプトやボール奪取と攻守に渡って奮闘した。そして、センターバックの一人、首尾一貫、目立たないながらも守備に徹する池田の奮闘ぶりも光った。
今節の勝利で自動降格圏をようやく脱したが、未だ降格圏であることには違いはない。これからも気の抜けない戦いが続くだろう。 “WIN BY ALL!”はこれからも続くが、名古屋に勝ったことで更なる上昇機運が高まった。
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