総裁選からたまには政治を考えてみた 〜その4〜
2008-09-21


■政治に求める戦略的な農業政策

 小池氏を推したい理由は他にもある。それは、公約として掲げている「もうかる農業への変革」を唱えていることへの経済面での農業政策である。
 私も経済政策の「もうかる農業への変革」は、経済動向と社会情勢の趨勢を読むからに必要不可欠と私も考える。
 経済が、「貨幣を媒介として市場での取引を行う行為」であるのなら、食料品の物々交換から発展した現代の市場経済は、農業経済と共に発展してきたと言っても過言ではない。その人間の最低限の生活を保障する「食」を疎かにして、経済の発展などありえるだろうか?
 現在の日本の食糧自給率は40%である。幸いにして、コメの自給率は100%を維持しているが、食文化の発達により、残りを輸入に頼っていることは紛れもない現実である。
 温暖化や天変地異の発生による凶作や、原油高による穀物のバイオマス燃料への転用によって引き起こされた今日の物価高は、日本に未曾有の危機を与える可能性がある。食糧を諸外国への依存することは、その影響を受け易く、食料価格の安定などあり得ない。食料の高騰は、スタグフレーションを引き起こし、エンゲル係数の増加から、工業製品への需要低下を招くことは明からだ。国はこうした危機への対策として、政府米を貯蔵するなど最低限の食糧危機のリスクマネージメントを行っているが、食料品が経済の主要な位置を占めているならば、何らかの対策を講じる必要がある。
 国は2005年からの10年で、食糧自給率を5%アップを当面の目標に据えているが、一方で稲作農家には、任意ながら供給抑制の通達を出している。農業を斡旋する補助金が捻出されているかと言えば、あまり聞いたことがない。一部の自治体や生産品についは補助金が投入されているかもしれないが、皆無といっていい程ではないかと思う。
 そこで国に農業政策を見直して貰いたい点を洗い出してみた。

・東京都の面積の1.6倍あると言われている耕作放棄地の有効活用の検討
・耕作放棄地の土壌を分析し、適切な作物を栽培することへの斡旋と補助(小麦、大豆、とうもろこし等)
・コメの生産調整をバイオマス燃料や家畜の飼料への転用によって補う。その為の研究機関の設立や研究機関への投資。
・ブランド化されたコメ品種の諸外国への売り込み
・農業従事者へのより良い環境作り。(農業従事者を対象にした減税などの好待遇)
・定年退職者などを対象にした、セカンドライフの農業転向へ特典を付けるなどして促進を図る。

 他にも考え出せばきりがないが、主な点はこのようなものである。上述したことは、既に自治体など各方面で施策及び推進されているところもあるが、まだまだ現状の食料事情を変える程には至っていない。
 我が家の朝食はパン食だが、その原料である小麦がさらに高騰するようでは、コメに切り替えなかればならない。ある食料製造メーカーでは、そのコメから米粉を取り出し、パンと同じような食感と風味を出すことで、小麦の代用として既に流通させている。
 民間レベルでは、生き残りを賭け、日々格闘し、血みどろになって努力している。同じ人間なのだから、政治家や官僚もこれが出来ないはずがない。もちろん、必死になって国の為に貢献している者も多くいるだろうが、談合や収賄、脱税などによって、悪いイメージが常に付き纏ってしまっているのは承知のことだろう。さらに追い討ちをかけるように、法案が可決されない迷走する国会に、国民は辟易している。この状況を解決しようと、当の与野党自身も早い時期に解散総選挙に持って行きたいと考えているが、果たして結果はどうなるだろうか。
 個人的に、民主党ではまだ役不足の感があり政権交代は難しいと見ているが、かっと言って自民党も政策次第によっては苦杯を嘗めるかもしれない。


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